下半身のトレーニングと言えばスクワットですが、「筋肉が付いて脚が太くなってしまう」と思っている方によくお会いします。一方でネット上などでは「スクワットで脚は細くなる!」という意見も多く目にします。色々な意見があり、筋トレやダイエットに関する知識がない方にとってはどちらを信じれば良いのかわからなくなりますよね。そこで本記事では、筋トレ歴10年のジム経営者がスクワットに脚を細くする効果があるのかどうか考察してみたいと思います。
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スクワットで脚は細くなります。ただし、スクワットが直接的に脚を細くするのではなく、スクワットがもたらす効果が脚を細くすることに繋がるということを覚えておいてください。
ではなぜスクワットが脚を細くすることに繋がるのか。以下の3つが主な理由です。
①スクワットする→筋肉量が増える→基礎代謝が向上する→脂肪が燃焼される→脚が細くなる
②スクワットする→脚の筋肉が付く→脚にメリハリが付く→脚が細くなる(正確には脚が細く見えるようになる)
③スクワットする→ヒップアップ→脚の長さが強調される→脚が細くなる(正確には脚が細く見えるようになる)
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まずは誤解を解く:スクワットで脚は太くなりません
「スクワットをしたら脚が太くなった」と語る女性によくお会いすることがありますが、これはほとんどの場合が誤解です。
スクワットで脚は太くならないという表現は少し正確性が欠けているので、より分かりやすく、より正しい表現に変換すると次のようになります。
「❝脚を太くしようとしない限り❞スクワットで脚は太くならない」
では、ここでそのことが良くわかる参考画像を見てみましょう。
1枚目の画像の方は明らかに筋肉ムキムキで、太い脚をしています。一方、2枚目の画像の方は細くスラっとした脚をしています。
これだけ対照的な2人の女性ですが、両者ともにスクワットをしているという共通点を持ちます。ですが、スクワットの目的に関しては大きな相違点があります。
2枚目の方はスタイルの改善を目的としたトレーニングの一部にスクワットを取り入れていますが、1枚目の方は脚を太くするという目的のためにスクワットを行っていることは明らかです。
ほぼ間違いなく1枚目の方は、男性ボディビルダー顔負けのトレーニングに加えて、徹底した食事管理を行っているはずです。
では、「スクワットをしたら脚が太くなった」と語る方たちはそこまでの熱量と目的意識をもってスクワットに励んだのでしょうか?確実にノーと答えるでしょう。
脚を細くしようとスクワットに挑戦した際、体重や体脂肪率は落ちていましたか?もし体重や体脂肪率が落ちていなければ、脚が太くなった原因は筋肉ではなく体脂肪でしょう。
以上で「❝脚を太くしようとしない限り❞スクワットで脚は太くならない」ということがよく理解できたかと思います。
補足:
学生時代の部活動(バレー、バスケ、陸上、etc.)を通して脚が太くなったというお話もよく耳にします。これは競技特性上必要な部位の筋発達が生じている可能性が高いですが、基本的には引退後何もしなければ元に戻ります。
本章:スクワットで脚は細くなるのか考察してみます
先に結論を述べます。
スクワットで脚は細くなります。
ですが、注意点があります。それはスクワットが直接的に脚を細くするのではなく、スクワットがもたらす効果が脚を細くすることに繋がるということです。次のような関係をイメージしていただけると分かりやすいです。
誤: スクワットする→脚が細くなる
正:スクワットする→〇〇〇なことが起きる→脚が細くなる
そこで以降、上記「〇〇〇なことが起きる」の部分を考察し、スクワットで脚が細くなるということを証明していきたいと思います。
◤脚の脂肪燃焼
まずは一つ目です。
スクワットは太もも、お尻、ふくらはぎなど、下半身のほとんどの筋肉を動員して行われる運動です。下半身の筋肉は全身の約6割~7割を占めております。つまり、下半身の筋肉量を増やすということは、全身の筋肉量を増やすと言っても過言ではありません。
では身体の筋肉量が増えると何が起こるのでしょうか?
それは基礎代謝の向上です。
基礎代謝が向上することで、何もしていない状態でも脂肪が燃焼されやすい体質になります。それに伴って、脚の脂肪も燃えていきますので、結果として脚が細くなります。
以上まとめますと、
スクワットする→筋肉量が増える→基礎代謝が向上する→脂肪が燃焼される→脚が細くなる
が成り立ちます。
また、スクワットをすることで下半身への血流がアップします。基本的には部分痩せはできないのですが、痩せさせたい部位の血流を増やすと、その部位の脂肪が燃焼されやすくなったと感じる方も多いようです。こちらはあくまで経験則であることにご注意ください。
◤脚にメリハリが付く
スクワットの効果がしっかりと表れていると脚にメリハリが付いていきます。
脚にメリハリが付くとは、脚の各筋肉がはっきりとし、脚に陰影ができることを意味します。
例えば太ももの筋肉は、前もも、裏もも、ふくらはぎなど、それぞれ別の筋肉で構成されています。このそれぞれの筋肉がしっかりと鍛えられることで、筋肉同士の境目がはっきりとし、脚に陰影が付く=メリハリが付きます。
脚にメリハリがないと逆に太く見え、パンツを穿いた時のたるみも強調されてしまいます。
したがって、
スクワットする→脚の筋肉が付く→脚にメリハリが付く→脚が細くなる(正確には脚が細く見えるようになる)
といった効果が得られます。
◤ヒップアップ効果
スクワットは下半身全体の筋肉が使われる運動です。正しいフォームで行えば脚だけでなく、お尻の筋肉にも強い刺激が入るトレーニングとなります。
お尻の筋肉がないと当然、お尻の位置はどんどん下がっていきます。逆にお尻に筋肉が付くと、綺麗に引き締まりヒップアップしていきます。
そして次のイメージが示す通り、お尻の位置が高いと脚の長さが強調されるようになります。たとえ脚の幅が変わらなくても、縦に長くなることで、脚の横幅は相対的に細く見えるようになります。
したがって、
スクワット→ヒップアップ→脚の長さが強調される→脚が細くなる(正確には脚が細く見えるようになる)
これでヒップアップするだけでも脚が細くなる(細く見えるようになる)ということが理解いただけたかと思います。
スクワットで脚を細くするポイント
続いて、スクワットで脚を細くするポイントについて説明します。
◤正しいフォームで行う
スクワットは効率的に下半身の筋肉を鍛えることができる種目ですが、誤ったやり方だと効果が薄くなる上に、ケガにもつながる危険性があります。
初心者の方に多いのが、上半身の姿勢が崩れたり、膝ばかり曲げてしまうフォームです。そのようなフォームだと太ももの筋肉ばかり疲労してしまい、お尻の筋肉にうまく刺激が行きません。太ももばかりに効いてしまうので、「スクワットをしたら脚が太くなった」と誤解する原因にもなっていると感じます。
正しいスクワットのフォームが分からない場合はYouTubeなどで詳しく解説された動画を参考にすると良いでしょう。
また、正しいフォームを頭で理解できたとしても、実際に自身の体で再現することは簡単ではありませんので、一度パーソナルトレーナーの指導を受けてみることもおすすめです。
一回で完璧にフォームを習得することはできませんので、自分がスクワットをしている姿を鏡で見たり、動画を撮ったり、確認しながら反復練習することを心がけましょう。
以下、分かりやすいスクワットの解説動画です。
◤適切な頻度で行う
スクワットの効果を得るためには、継続的に、適切な頻度で行う必要があります。
当然、月1回のスクワットでは筋肉は付きませんので、脚を細くする効果もあまり期待できません。
フィットネスジムで、重りを担いでスクワットをしたり、他の下半身のトレーニングも並行して行う場合は週に1回程度でも十分な頻度と言えます。
自宅で自重スクワットを行う場合は、週に2~3回程度を目安としてください。一回のトレーニング量として、10~20回×3セットはこなすように頑張りましょう。
◤強度を調整する
効率的にスクワットの効果を得るために、慣れに応じて少しずつスクワットの強度を上げていくことをおすすめします。
強度を上げる主な方法は、重量を上げること、回数を増やすことです。
10kgのバーベルを担いだスクワットが余裕に感じ始めたらバーベルの重さを15kgにしたり、1セット15回のスクワットが楽々できるようになれば20回に増やすといったアプローチで強度を上げて行ってください。
より深くしゃがむフォームに変えたり、一回の動作をゆっくり行ったりすることも有効です。
しかし一方で、際限なく強度を上げていくと、逆に脚が太くなる原因となります。
下半身の筋肉が付いてきて、理想的な脚の細さや引き締まりに到達した際には、それ以上強度を上げないようにしましょう。
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以上、スクワットで脚が細くなるのかどうか考察させていただきました。ぜひご参考にしてみてください。
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