数年前から糖質制限ダイエットが普及したことによって、世間では「炭水化物=太る」というイメージが一般的となってしまいました。ところが「炭水化物=太る」は全くの誤解で、炭水化物そのもので太ってしまうケースは珍しく、実は太ってしまう原因が脂質にあることが多々あります。そこで本記事では「炭水化物=太る」というイメージを払拭できるよう、炭水化物と体脂肪の関係について掘り下げていきたいと思います。
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炭水化物のカロリーは4kcal/gで、ダイエットに良いとされるタンパク質と同じく実は低カロリーです。また、摂取した炭水化物のうちの多くは体脂肪ではなく、肝臓や筋肉中にグリコーゲンというエネルギー源として蓄えられます。
食欲が減退し始める20代、30代以降では、実は炭水化物の摂取量はそこまで多くなく、実は脂質過多による高カロリー食で太ってしまう可能性の方が高いです。
とは言っても、炭水化物の過剰摂取や高GI食品の食べ過ぎは体脂肪の蓄積に繋がりますので注意必要です。
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そもそも炭水化物とは?
炭水化物は、食物の主要な栄養素の一つであり、身体にとって最も大きなエネルギーの供給源でもあります。
炭水化物は、体内でエネルギー(=カロリー源)となる「糖質」とエネルギーとならない「食物繊維」に分けることができます。そのため、厳密には正しくありませんが、カロリー源となる「糖質」=炭水化物として世間では認知されております。
炭水化物(糖質)は消化吸収を通してブドウ糖に分解され、体内でエネルギー源として働きます。
当然、糖質が不足すると体はエネルギー不足となり、疲れやすくなります。また、脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としているため、糖質が不足すると脳の働きが悪くなり、頭がぼーっとしてしまう感覚に陥ります。
エネルギー不足にならないように、炭水化物(糖質)はダイエット中でも適切に摂取する必要があります。
なぜ「炭水化物=太る」は誤解なのか
炭水化物は体にとって非常に大切なエネルギー源であることが分かりましたが、どうしても太ってしまうというイメージが付きまとっているように思います。
実際は「炭水化物=太る」は誤解で、炭水化物について正しく理解できれば、ダイエットの大敵でもなんでもないことが分かります。
◤カロリーは実は低い
体内に取り込まれエネルギーとなる栄養素は糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質の3つで、これらは三大栄養素と呼ばれており、それぞれが持つカロリーは次の通りとなります。
・糖質(炭水化物):4kcal/g
・脂質:9kcal/g
・タンパク質:4kcal/g
ご覧の通り、炭水化物1gあたりのカロリーは、ダイエットに良いとされるタンパク質のカロリーと変わりません。
よって、炭水化物を多少食べたとしても、一日で摂取するカロリーの総量の増大には繋がりにくいのです。
摂取カロリーの観点からは、9kcal/gある脂質の方がダイエットに不向きであると考えられます。
◤脂肪に直接変換されない
炭水化物は、体脂肪に直接変換されるわけではありません。
炭水化物は消化吸収されると主にグリコーゲンという形で、優先的に肝臓や筋肉に蓄えられます。個人の体格によって異なりますが、グリコーゲンの貯蔵量は肝臓で約100g、筋肉中で約300gあるとされており、合わせて約1,600kcal分も体内に蓄えておくことができます。
この体内のグリコーゲンの貯蔵量を超過した分の炭水化物が、体脂肪として蓄えられます。
一日のうち、脳だけで約120gのブドウ糖が消費されると分かっており、また、体を動かすだけでも筋肉中のグリコーゲンが使われるため、炭水化物は体内で枯渇しやすい栄養素だと言えます。
よって、炭水化物は優先的に枯渇した分のグリコーゲンの再貯蔵に回されるため、摂り過ぎなければ体脂肪になりにくいです。
◤あなたが太った原因は脂質過多かも?
「炭水化物の食べ過ぎで太った」と頻繁に耳にしますが、果たして本当に太った原因は炭水化物にあるのでしょうか?
食欲の旺盛な10代なら、一日でかなりの炭水化物を食べることができますが、食欲が減退し始める20代、30代以降では、胃のキャパシティー的に実はそこまで炭水化物を食べていないことが多いです。
一日3食、お茶碗2杯分の白ご飯(300g)を食べたとしても、摂取カロリーは約1400kcalで実はそこまで高くありません。そして、これだけの量を食べている方はほとんどいないのではないでしょうか。
例えば、チョコレートなどのスイーツは高炭水化物であるイメージがありますが、同時に高脂質でもあります。チョコレート50g(279kcal)あたりの栄養素は次の通りです。
・タンパク質: 3.5g
・炭水化物: 28g
・脂質: 17g
よってチョコレート50gのうち、タンパク質が14kcal、炭水化物が112kcal、脂質が153kcalを占めており、炭水化物ではなく脂質によってチョコレートが高カロリーな食べ物となってしまっていることが分かります。
他にも、菓子パンや洋菓子、パスタやラーメン、ピザ、中華料理なども同様に、炭水化物ではなく脂質が原因で高カロリーになっていることが多いです。
炭水化物の食べ過ぎで太ってしまったとお考えの方は、中途半端な糖質制限を始める前に、一度ご自身の食事の脂質にも目を向けてみてください。
参考に江戸時代の食事を見てみましょう。
次の写真は江戸時代の典型的な食事を再現したものになります。
一汁一菜、質素なおかずと大量の玄米といった炭水化物全振りな食事です。
そして江戸時代の人がこんな感じです。
大量の炭水化物を食べているにもかかわらず太っているどころか、頬までコケています(笑)
やはり昭和以降の食の欧米化(=高脂質化)の影響を受け、日本人にも肥満が増えてきたことが明らかですね。
太らない炭水化物の摂り方をアドバイス
「炭水化物=太る」は誤解ということをここまで説明してきましたが、摂り方を間違えると当然太る原因になってしまいます。
そこで、太らないための炭水化物の摂り方について、以下にいくつか紹介させていただきます。
①適量に抑える
当たり前ですが摂り過ぎないように注意しましょう。厚生労働省の基準では、一日の摂取カロリーのうち炭水化物が占める割合は5~6割程度が推奨されています。
②低GIの炭水化物を積極的に摂る
GI(Glycemic Index)とは食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。
高GIの食事だと血糖値の上昇が激しく、炭水化物が脂肪になりやすくなってしまいます。一方低GIの食事では血糖値の上昇が緩やかで、炭水化物が脂肪になりにくいです。
高GIの炭水化物:白米、もち、食パン、パスタ、うどん、じゃがいも など
低GIの炭水化物:玄米、全粒粉パン、そば、オートミール、さつまいも など
③砂糖は控える
砂糖は血糖値の急上昇を招くうえ、純粋な炭水化物の塊であるため、炭水化物の過剰摂取に繋がりやすくなります。
甘いお菓子全般、ジュースなどには大量に砂糖が入っているため、ダイエット中はできれば避けるようにしましょう。
④いっぱい食べるなら運動後
摂取した炭水化物のうち、体脂肪となるのはグリコーゲンの貯蔵量を超えた分です。
運動後は筋肉中のグリコーゲンが消費されるため、炭水化物をいっぱい食べても、その多くが筋肉のグリコーゲンの再貯蔵に回されるため体脂肪になりにくいです。
数ある運動の中でも、特に筋トレなどの無酸素運動では大量のグリコーゲンが消費されるため、筋トレ×炭水化物は相性が良く非常におすすめです。
⑤脂質との同時摂取を避ける
炭水化物を摂取するとインスリンが分泌されます。インスリンにはブドウ糖を中性脂肪に変換したり、血中の脂肪を蓄える働きがあるため、炭水化物を多めに摂るときは脂質との同時摂取を避けるようにしてください。
脂質と糖質を同時に多量摂取してしまう食事と言えば、ラーメンが代表的です。うどんやそばだと同じ麺類でも脂質が抑えられているのでベターです。
また、逆を言えば、脂質を多く摂るときには炭水化物は摂らないように心掛けてください。焼肉に行った際は白ご飯は食べないようにするなどが一例になります。
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以上、上手く向きえば、実は炭水化物は太る栄養素ではないことがご理解いただけたかと思います。ぜひご参考にしてみてください。
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